今では当たり前に付いている車のカーエアコン。そんなカーエアコンの横には、必ずといっていいほど「A/Cボタン」が付いています。そのボタンについて、「いつ使うの?」「どんな役割があるの?」と疑問に思ったことがあるという方もいるかもしれません。
そこで今回は、A/Cボタンの役割と使い方についてご紹介します。
家庭用とは違う、カーエアコンの仕組み
車に乗るほとんどの方が利用するカーエアコン。エアコンは「Air Conditioning」の略称であり、主に冷房や除湿、暖房機能を果たします。家庭でもエアコンを利用しますが、家庭用のエアコンと車用のエアコンには構造上の違いがあります。
家庭用エアコンには、エアコン自体に空気を暖めたり冷やしたりする機能が付いています。これに対してカーエアコンには、一部の電気自動車を除いてエアコン自体に空気を暖めたり冷やしたりする機能は付いていません。なお、カーエアコンの暖房と冷房は、それぞれ異なる仕組みで作動しています。
カーエアコンの暖房機能は空気を暖めるのではなく、エンジン熱を利用して車内を暖める構造となっています。具体的には、エアコンのスイッチをオンにすることで熱くなったエンジンの冷却水に送風ファンが当てられ、その温風によって車内が暖められる仕組みとなっています。
一方、冷房機能では、ガス燃料が気化する際に周囲の熱を奪う性質を利用して冷気を発生させています。発生した冷気はエアコン以外の「ある装置」を用いて車内に送られ、車内の空気が冷やされます。その「ある装置」を作動させるのが、「A/Cボタン」です。
A/Cボタンは何のためのボタンなの?
A/Cボタンは、「コンプレッサー」と呼ばれる装置を動かすためのスイッチを指します。コンプレッサーとは、車内の空気を冷やしたり、除湿したりする際に必要となる装置です。A/Cボタンを押してコンプレッサーを動かすことで空気を冷やす冷媒がエアコン内部に循環し、そこで冷やされた風が吹出口から出てくることで車内が冷やされる仕組みとなっているのです。つまり、車の冷房機能や除湿機能を使うにはエアコンの冷房や送風ボタンを押すと共にA/Cボタンも押す必要があります。
暖房をつけるときもA/Cボタンは必要?
車内を冷やしたり除湿したりする際に押す必要があるA/Cボタン。それゆえ、「車内を暖める際にもA/Cボタンを押す必要はあるか」と疑問に感じる方がいるかもしれませんが、車内を暖める際は特にA/Cボタンを押す必要はありません。(一部車種を除く)暖房スイッチを押すことでエンジン熱に送風ファンが当てられ、その温風によって車内が暖められる構造となっているからです。
ただし、暖房機能を使う際にもA/Cボタンを押す場合があります。暖房機能を用いると車外との温度差でフロントガラスや窓ガラスがくもってしまいます。ガラスをくもったままにしておくと視界が悪くなり事故などのトラブルにつながってしまう場合もあるため、トラブルを防ぐための対策が必要となります。その対策として役立つのが、A/Cボタンです。A/Cボタンを押してコンプレッサーを動かすことで、フロントガラスのくもりを取り除くことができます。
大切な愛車でドライブを楽しむためには、タイヤやブレーキ、ハンドルなどの各パーツのメンテナンスだけでなく、快適な空調といった車内環境の充実も大切です。A/Cボタンの役割をしっかりと把握し、冷房機能と暖房機能を上手に使い分けて快適なドライブを楽しみましょう。
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